コラム
新しい事業の形として「代理店ビジネス」を検討しているものの、その仕組みや種類について深く理解できていないと感じることはありませんか?
販売店やフランチャイズといった類似モデルとの違いが曖昧で、どの形態が自社の目的に合っているのか判断に迷う方も多いでしょう。
本記事では、代理店のビジネスモデルを契約形態・収益構造などから11種類に分類し、それぞれの特徴やメリットを解説します。
ぜひ最適なビジネスモデルを見つけ、事業を成功させるための参考にしてください。
代理店のビジネスモデルとは、メーカーの代わりに商品を販売して手数料を得る事業です。
しかし、ほかのビジネスモデルや契約形態と混同されやすいため、正確な理解が欠かせません。
ここでは、とくに間違いやすい以下2つを解説します。
これらの違いを明確にすると、代理店ビジネスの特徴がより深く理解できます。
代理店と販売店やフランチャイズとのもっとも大きな違いは、在庫リスクの有無とブランド使用料(ロイヤリティ)の支払いです。
販売店はメーカーから商品を買い取り、自社の在庫として販売します。
そのため売れ残りリスクを負いますが、代理店は商品を買い取る必要がありません。
次にフランチャイズは、本部のブランド力や経営ノウハウを活用できる代わりに、加盟金やロイヤリティを支払う必要があります。
代理店はこれらの支払いが不要で、より独立性が高い働き方が可能です。
このように代理店は、在庫を持たず低リスクで始められる点が大きな特徴といえます。
代理店契約とアライアンス契約は、提携の目的と範囲に明確な違いがあります。
代理店契約は、メーカーの代わりに商品やサービスを販売するという「販売代行」に特化した契約です。
販売目標や手数料といった条件が具体的に定められ、役割が限定されています。
一方、アライアンス契約は「戦略的提携」を意味する、より広範な協力関係を指す言葉です。
共同での技術開発やマーケティング活動など、販売以外の目的も含まれます。お互いの経営資源を生かして新しい価値を生み出すのが目的です。
つまり、代理店契約は販売に絞った具体的な契約であり、アライアンス契約はより大きな枠組みでの業務提携といえるでしょう。
一口に代理店といっても、その契約内容やビジネスの進め方は多岐にわたります。
全体像を正しく理解するためには、いくつかの視点から分類することが有用です。
ここでは、代理店の種類を以下3つの切り口から整理します。
それぞれ見ていきましょう。
代理店はメーカーと結ぶ契約の内容によって、その役割や責任の範囲が大きく異なります。
ここでは、代表的な契約形態である以下6種類の特徴を解説します。
ご自身の事業スタイルに合う形態を見極めることが大切です。
販売代理店は、メーカーから商品やサービスの販売を正式に委託されるもっとも一般的な代理店形態です。
営業活動から契約締結、アフターフォローまで一貫して行い、成約に応じて手数料を受け取ります。
在庫を持たないため、資金繰りのリスクが少ないことが大きなメリットです。
自動車販売代理店や家電製品販売代理店などが代表的な例です。
保険代理店も販売を担うことがありますが、紹介店としての側面を持つ場合もあります。
ただし、価格決定権はメーカー側にあるため、独自の価格戦略は取りにくいという側面もあります。
▼代理店契約のメリットについて詳しく知りたい方はこちら
代理店契約のメリットとデメリットを代理店・メーカーの両側面から紹介
紹介店は、見込み客をメーカーに紹介するだけで手数料を得られる、もっともシンプルな代理店形態です。
実際の商談や契約手続きはメーカーが行うため、営業経験が少ない方でも始めやすいビジネスモデルといえます。
紹介手数料は、販売代理店より低めに設定されるのが一般的です。
副業として取り組みやすく、本業の顧客基盤を活用できる点が魅力です。
たとえば、旅行代理店や不動産仲介業者、保険代理店などが見込み客を紹介するケースがあげられます。
ただし、紹介後の成約率はメーカーの営業力に依存するため、信頼できるパートナー選びが肝要です。
取次店は、顧客からの注文をメーカーに取り次ぐ役割に特化した代理店形態です。
商品の在庫管理や配送、アフターサービスはメーカーが担当するため、店舗運営の負担が軽減されます。
コンビニエンスストアの公共料金収納代行や、クリーニングの取次などが身近な例としてあげられます。
手数料は取次件数や金額に応じて支払われ、安定した収益を見込みやすいのが特徴です。
既存店舗の空きスペースを活用でき、追加投資を抑えながら新たな収益源を確保可能です。
ただし、取次業務だけでは差別化が難しく、立地条件や既存顧客の多さが求められます。
特約店は、メーカーと特別な契約を結び、独占販売権や優遇条件を得られる代理店形態です。
特定地域での独占販売権を持つことで、競合他社との価格競争を避けられます。
また、メーカーのブランド看板を使用でき、広告宣伝費の補助を受けられる場合もあります。
ガソリンスタンドや家電量販店の一部店舗などが代表例です。
ただし、特約店になるには一定の販売実績や資金力が求められることが多く、販売ノルマが課される場合もあります。
メーカーとの関係が密接になる分、経営の自由度は制限される傾向にあります。
しかし、その一方でメーカーのロゴ使用や特定地域での独占販売権といった特別な恩恵を受けられる点がメリットです。
総代理店は、メーカーから日本国内や特定地域における販売権を一手に引き受ける、もっとも規模の大きな代理店形態です。
メーカーから複数の商品やサービスの販売代理を受け、それらを総合的に販売する企業を指します。
商品やサービスの管理、販売促進など、メーカーと販売代理店との間で調整が必要な業務を一手に引き受けられます。
携帯電話キャリアや自動車販売総代理店などが典型的な例です。
大きな利益を得られる可能性がある一方、初期投資や運転資金も相当額必要となります。
また、下位代理店の教育や支援、クレーム対応なども総代理店の責任となるため、組織力が求められます。
OEM(Original Equipment Manufacturing)は、メーカーが製造した製品を自社ブランドとして販売するビジネスモデルです。
OEMは「オリジナル製品の製造業者」を略したものですが、ビジネスモデル自体を指すこともあります。
プライベートブランド商品として、独自の価格設定やマーケティング戦略を展開できます。
コンビニエンスストアのプライベートブランド商品や、大手小売店のオリジナル家電などが代表例です。
OEM側は製造工場や製造者にかけるコストを省け、販路拡大に集中できるというのがメリットです。
ただし、品質管理の責任は自社が負うことになり、不具合が発生した場合のリスクも大きくなります。
また、最低発注数量が設定される場合が多く、ある程度の販売力と資金力を要します。
代理店は、そのおもな目的や市場へのアプローチ方法によっても分類できます。
ここでは、事業の目的に焦点を当てた以下3つの分類を説明します。
詳しく見ていきましょう。
サプライ型は、商品やサービスのニーズが強く、全国から問い合わせや注文が安定して入る継続的なニーズがある状況で構築されるビジネスモデルです。
電気やガス、インターネット回線、オフィス用品の提供などが典型例となります。
自社の社員では対応しきれない全国からの問い合わせや注文に対応し、販売機会の最大化を目指すことがおもな目的です。
一度契約すると長期的な収益が見込める、ストック収入につながりやすいのが大きな魅力です。
シェア型は、特定の地域や業界に密着し、市場のシェア(占有率)を分け合うように営業活動を行うモデルです。
各代理店が担当エリアを持ち、その中での販売に責任を持ちます。
たとえば、各地域に存在する新聞販売店や特定の建材を扱う工務店などがあげられます。
地域ならではのネットワークや、信頼関係が求められるビジネスです。
既存の顧客基盤や地域での知名度を生かせる企業にとって、有効な戦略といえます。
マーケ型は、メーカーのマーケティング活動の一環として、新規顧客の開拓をおもな目的とするビジネスモデルです。
とくに、市場に投入されたばかりの新商品や、まだ認知度の低いサービスを広める役割を担います。
代理店自身の集客力や販売企画力が成功を大きく左右するのが特徴です。
Webマーケティングやセミナー開催など、多様な手法を駆使して見込み顧客を獲得します。
新しい挑戦を好み、営業やマーケティングに強みを持つ企業に適しています。
代理店ビジネスの収益がどのように発生するかも、重要な分類の1つです。
手数料が単発で支払われるのか、それとも継続的に得られるのかによって、事業の安定性や計画の立て方が変わります。
ここでは、収益構造に着目した以下2つの型を紹介します。
どちらの方が自社の経営方針に合っているかを検討することが大切です。
フロー収入型は、商品が売れたり契約が成立したりするたびに、単発で手数料を受け取る収益モデルです。
成果報酬型とも呼ばれ、販売実績が直接収入に結びつく分かりやすさがあります。
このモデルに該当するのが、不動産仲介や高額な機器の販売などです。
一件あたりの手数料が高額になることも多く、短期間で大きな収益を上げる可能性があります。
常に新規の契約を獲得し続ける営業力が求められるため、販売力に自信のある企業向けの収益構造です。
ストック収入型は一度契約を獲得すると、顧客がサービスの利用を続ける限り継続的に手数料が得られるモデルです。
SaaS企業や保険会社、携帯・通信会社など、月額課金制や継続的な支払いが発生するサービスを提供する業界は、代理店ビジネスがとくに盛んです。
契約が継続する限り月額でフィーが入るビジネスモデルもあるため、売上を上げ続ける仕組みを作れます。
そのため、事業の見通しが立てやすく、経営が安定しやすいといえます。
すぐに大きな収益にはなりませんが、長期的に安定した基盤を築くことが可能です。
着実に事業を成長させたいと考える企業に適した収益構造です。
代理店ビジネスの成功は、取り扱う商材選びで大半が決まるといっても過言ではありません。
第一に、自社の強みを生かせる商材を選ぶことが大切です。
自社の販売ネットワークや顧客層、スタッフの専門性などを踏まえ、既存事業との相乗効果が見込める、既存顧客に提案しやすい商材を選びましょう。
第二に、市場動向やトレンドを把握し、顧客ニーズが高く、競合が少なく差別化がしやすい競争力のある商材を選ぶことが賢明です。
最後に、商材を提供するメーカーの信頼性を確認してください。
商品やサービスが品質や安全面で問題がある場合、代理店の評判にも影響を与えるため、信頼性が高いメーカーを選ぶことが望ましいです。
代理店ビジネスで成功するには、自社の強みを生かせる商材選びと、信頼できるメーカーとのパートナーシップが不可欠です。
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