コラム
事業の新たな柱を作りたいとお考えではありませんか?
その有効な手段の1つとして注目されるのが「代理店契約」です。
しかし、代理店と一言でいっても、どのようなメリットやリスクがあるのか正確に把握しきれていない方も多いでしょう。
本記事では、代理店契約のメリットとデメリットを、代理店側とメーカー側それぞれの視点から解説します。ぜひ最後まで読んで、自社に最適な契約形態を見つけてください。
代理店になる側には、事業を低リスクで始められたり、既存のリソースを有効活用できたりと、多くの魅力があります。とくに、独立起業家や新規事業を検討している企業にとっては、事業成長の大きな足がかりとなるでしょう。
ここでは、代理店側が享受できるおもな5つのメリットを解説します。
それぞれ見ていきましょう。
代理店契約の最大のメリットは、在庫を抱えるリスクなしにビジネスを始められる点です。
販売店契約とは異なり、商品を事前に仕入れる必要がありません。
代理店はあくまでメーカーと顧客の仲介役として販売活動を行います。
たとえば、新しい建材を扱う場合、販売店なら先に大量の商品を購入しなければなりません。
もし売れなければ、その在庫はすべて損失になってしまいます。
しかし代理店であれば、注文が入ってからメーカーに発注するため、売れ残りの心配がありません。
これにより、事業開始時の初期投資や運転資金を大幅に抑えられます。
新規事業でもっとも難しいのは、ゼロからの顧客開拓です。
しかし代理店ビジネスでは、既存顧客に対して新しい価値を提供できます。
たとえば工務店を経営しているなら、住宅を建てたお客様に新しい断熱材や便利な住宅設備を提案できます。
すでに信頼関係が築かれているため、お客様も安心して話を聞いてくれるでしょう。
これは、全く無関係の新規顧客にアプローチするよりも、はるかに成約率が高くなります。
本業との相乗効果を生み出し、顧客単価の向上にも直結します。
このように、既存の資産を最大限に活用できる点は、代理店ビジネスならではの強みです。
顧客は商品やサービスを選ぶ際「どこの会社が提供しているか」を重視します。
とくに高額な商材であれば、その傾向はより顕著です。
たとえば、まだ設立したばかりの会社でも「業界トップシェアである〇〇社の正規代理店です」と名乗れれば、顧客に大きな安心感を与えられます。
これは、自社だけで長年かけて築き上げる信用を、短期間で手に入れるようなものです。
企業サイトや名刺にメーカーのロゴを使える場合もあり、強力なアピール材料として活用できます。
メーカーが持つブランド力を借りることで、事業を有利に進められます。
代理店契約を結ぶと、メーカーが持つ営業の知見や販促ツールの提供といったサポートを受けられる場合があります。
成功しているメーカーほど、代理店が商品を売りやすいように手厚い支援体制を整えていることが多いからです。
具体的には、商品知識を深める研修会や、効果的なセールストークの共有などがあげられます。
顧客への提案にそのまま使えるパンフレットや、動画といった販促ツールが用意されていることも。
これらの支援を活用することで、新しい商材でも自信を持って営業活動に臨め、自社で手法を確立する手間を削減できます。
多くの業界では、似たような商品で価格を競い合う消耗戦に陥りがちです。
この状況を打破するには「自社だけの強み」が不可欠です。
たとえば、周辺の工務店が同じような建材を使う中で、自社だけが高性能な特殊塗料を独占的に提案できるとします。
すると顧客は価格だけでなく「その塗料が持つ価値」で自社を選ぶようになります。
これは価格競争から価値競争へと、ビジネスのステージを引き上げる大きな一歩です。
▼商材を選ぶ際のポイントについて詳しく知りたい方はこちら
代理店のビジネスモデル11種類と商材を選ぶ際のポイントを解説
ここからは、メーカー側が得られる代表的な4つのメリットを紹介します。
詳しく見ていきましょう。
メーカーにとって大きなメリットは、人件費などの固定費を増やさず販路を広げられる点です。
全国に営業拠点を設けて人員を雇用するのは、多大なコストと時間がかかります。
この役割を外部パートナーである代理店が担ってくれます。
たとえば大阪の企業が東京へ進出する場合、通常は支社の設立や採用が必要です。
しかし東京で顧客基盤を持つ企業と代理店契約を結べば、すぐに販売活動を始められます。
報酬は成功報酬型が基本のため、売上がないのに人件費がかかるリスクを避けられ、低リスクで全国展開が実現できます。
営業活動を代理店に任せることで、自社の貴重なリソースを商品開発や品質向上といったコア業務に集中させられます。
企業の成長には、魅力的な商品やサービスを生み出し続けることが不可欠です。
しかし、営業と開発の両方に十分な人材を割くのは簡単ではありません。
たとえば、革新的なソフトウェアを開発した技術者集団がいるとします。
彼らの強みが開発力である場合、販売力のある代理店と連携することで、もっとも得意な開発業務に専念できるでしょう。
営業活動を外部のプロに任せることで、企業全体としての生産性が向上します。
各地域ですでに実績と信頼を築いている代理店と組むことで、その土地の特性に合わせたきめ細やかな営業活動が実現します。
地域によって顧客のニーズや商習慣は大きく異なり、本社から派遣された担当者がそれをすぐに理解するのは困難です。
たとえば、地方都市で建設関連の商材を販売する場合、地元の工務店との長年の信頼関係が大切です。
その地域で長くビジネスを続ける代理店は、すでにその関係性を築いています。
代理店を通じて商品を展開することで、新規参入の企業でもスムーズに市場へ受け入れられる可能性が高まります。
代理店が持つ独自の顧客ネットワークを活用することで、これまで接点のなかった新しい市場や顧客層へのアプローチが可能になります。
どれほど優れた商品でも、その存在を知ってもらえなければ売れることはありません。
自社の営業力だけでは、リーチできる顧客の範囲には限界があります。
たとえば、法人向けのセキュリティソフトを開発した企業が、医療業界にもニーズがあるかもしれないと考えたとします。
この場合、医療機関と強いパイプを持つ企業と代理店契約を結ぶことで、新たな市場の扉を開けるでしょう。
代理店は、メーカーが想定していなかった顧客を発見してくれることもあります。
多くのメリットがある代理店契約ですが、契約を結ぶ前に知っておくべきデメリットや注意点も存在します。
ここでは、代理店側が直面しうるおもな4つのデメリットを説明します。
それぞれ見ていきましょう。
代理店はメーカーの代理として活動するため、販売方法や価格を自社の裁量で決められないことがほとんどです。
これはメーカーが、ブランドイメージや市場での価格帯を統一したいと考えているためです。
たとえば「もっと値引きしたい」と思っても、メーカーが定めた価格を守る必要があります。
独自のキャンペーンも許可なしには実施できません。
自社の販売ノウハウを生かせず窮屈に感じる場面もあるでしょう。
自由な事業展開を重視する場合、この制限は大きなデメリットとなり得るため、契約前に裁量の範囲を確認することが肝心です。
代理店契約は業務委託契約の一種であり、基本的に毎月の固定報酬や最低売上の保証はありません。
代理店の報酬は、商品やサービスが売れた際に発生する販売手数料が一般的です。
そのため、成果が出なければ収入はゼロになる可能性もあります。
たとえば、新しい商材を扱うために多くの時間を費やしても、一件も成約できなければその月の報酬は発生しません。
事業を始めたばかりで売上が不安定な時期は、この点が大きな不安要素となるでしょう。
安定した収入を確保するためには、継続的に成果を出し続ける努力が求められます。
パートナーであるメーカーの方針転換によって、自社の売上が大きく左右されるリスクがあります。
代理店はメーカーの商品を扱うため、その商品自体の仕様変更や価格改定、あるいは販売終了といった決定に直接影響を受ける立場だからです。
たとえば、主力商品として順調に販売していた製品が、メーカーの都合で突然生産終了になるケースも考えられます。
また、メーカーが直販を強化し、代理店の取り分が減る可能性も否定できません。
自社の努力だけではコントロールできない外部要因で収益が不安定になるリスクは、常に存在します。
代理店としての成果は、パートナーであるメーカーのサポート体制の質に大きく影響されます。
優れた商品でも代理店自身が価値を深く理解し、顧客に的確に伝えられなければ販売にはつながりません。
そのための支援がメーカーに求められるからです。
たとえば、契約後の研修がほとんどなく、質問への回答も遅いメーカーだと、代理店は不安を抱えたまま営業することになります。
これではよい成果は期待できません。
契約前に、サポート体制の具体的内容を確認することが、失敗を避けるための秘訣となります。
ここでは、メーカー側での4つのデメリットを紹介します。
詳しく見ていきましょう。
代理店は外部パートナーのため、育成や管理に相応のコストがかかります。
自社商品への深い理解や方針に沿った販売をしてもらうには、継続的な働きかけが欠かせません。
たとえば、定期的な研修会の開催やフォローアップ専門部署の設置、報奨金制度や販促ツールの開発などがあげられます。
これらの活動を怠ると、代理店の販売スキルが向上せず、売上も伸び悩んでしまいます。
「契約すれば勝手に売ってくれる」わけではなく、人件費は抑えられても、代理店を支援するための投資は必要だと理解しておくべきです。
営業活動を代理店に依存すると、貴重な顧客情報や現場の営業ノウハウが自社に蓄積されにくいというデメリットがあります。
顧客と直接やり取りするのは代理店であり、メーカーは「誰が、なぜ商品を買ってくれたのか」という生の情報を得にくくなるためです。
たとえば、顧客からのクレームや改善要望は、まず代理店に寄せられます。
その情報がメーカーまで正確に届かなければ、商品開発の貴重な機会を逃すことになります。
代理店からの情報共有を促す仕組みを構築しなければ、企業の貴重な資産を失うことになりかねません。
複数の代理店がそれぞれの方法で販売活動を行うため、自社が意図するブランドイメージを完全にコントロールすることが難しくなります。
代理店はあくまで外部の事業者であり、従業員のように細かな行動規範までを徹底させることが困難だからです。
たとえば、ある代理店が顧客に対して強引な営業を行ったり、商品の価値を誤って伝えたりする可能性もゼロではありません。
そうした一部の代理店の行動が、メーカー全体の評判を損なうリスクがあります。
定期的な研修や明確な販売マニュアルの整備を通じて、ブランド方針の浸透を図る継続的な努力が求められます。
代理店を介して商品を販売することは、顧客との直接的な関係を築く機会を失うことにもつながります。
顧客にとっての窓口は代理店であり、メーカーは「顔の見えない存在」になりがちです。
これにより、顧客のロイヤリティを高める機会を逃す可能性があります。
たとえば、顧客が商品を使っていく中で疑問や要望が生まれたとき、最初に相談するのは担当の代理店です。
メーカーが直接顧客の声を聞き、感謝を伝えたり、次の商品を提案したりする機会は限られてしまいます。
効率性を取るか、顧客との関係性を取るか、自社の事業戦略に合わせた判断が求められます。
代理店ビジネスで成功するには、扱う商材の競争力と、安心して事業を始められるサポート体制が不可欠です。
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