コラム
外壁メンテナンスの時期や最適な外壁材について、確かな情報をもとに判断したいと考えていませんか?
外壁の耐用年数は、使用する塗料や外壁材によって大きく異なり、その知識がなければ適切な選択はできません。
単なる寿命だけでなく、税務上の「法定耐用年数」との違いを理解することも肝心です。
本記事では、外壁耐用年数の基本的な2つの意味から国税庁の示す基準、塗料や外壁材ごとの具体的な年数を解説します。
後悔のないメンテナンス計画にお役立てください。
外壁の耐用年数を正しく理解するには、全く異なる2つの概念を区別することが大切です。
ここでは、以下3つの視点から解説します。
それぞれ見ていきましょう。
物理的な耐用年数とは、塗料や外壁材そのものが性能を維持できる「寿命」を指します。
外壁は日々、紫外線や雨風といった過酷な環境に晒されています。
そのため、塗料メーカーなどが「この期間は建物を保護できます」という目安として設定しているのが、物理的耐用年数です。
この年数を過ぎると、塗膜の防水性が切れたり、外壁材が劣化したりして建物を守る機能が低下します。
たとえば、塗料のカタログに「期待耐用年数10〜15年」と記載されているのがこれにあたります。
美観を保つだけでなく、雨漏りや構造体の腐食といったダメージを防ぐためにも、物理的耐用年数を基準にメンテナンス計画を立てるのが大切です。
▼外壁メンテナンスの時期について詳しく知りたい方はこちら
外壁メンテナンスの時期を示す5つの劣化サインと外壁材の種類別目安も解説
法定耐用年数とは、税法のルールに基づいて定められた年数のことです。
おもに、事業用の建物などにかかった費用を、何年かに分けて経費として計上する「減価償却」の計算で用いられます。
この年数は、実際の建物の寿命とは関係なく、その構造や用途によって法律で一律に決められています。
たとえば、木造の住宅は22年、鉄骨鉄筋コンクリート造の事務所は50年といった具合です。
これはあくまで会計処理上の数字であり、建物の劣化具合を示すものではありません。
おもに不動産オーナーや法人が、固定資産の経費計上を正しく行うために使用します。
一般の住宅所有者がメンテナンス時期を判断する際に、この法定耐用年数を参考にするのは間違いなので注意が必要です。
これら2つの耐用年数を区別する理由は、両者を混同すると大きな失敗につながる危険があるからです。
目的が全く異なる数字を同じものとして考えてしまうと、建物の管理と会計処理の両方で判断を誤る原因となります。
たとえば、法定耐用年数である「木造22年」を建物の寿命だと勘違いするケースです。
実際には10年程度で必要な外壁塗装を怠り、雨漏りなど深刻な劣化を招いてしまうかもしれません。
反対に、事業者が塗料の耐用年数である「10年」で減価償却の計算をしてしまうと、税務調査で誤りを指摘される可能性があります。
建物を適切に維持し、正しい会計処理を行うために、2つの違いを明確に理解しておくことが不可欠です。
国税庁が定める法定耐用年数は、外壁塗装の減価償却を行う際の基準となる数値です。
外壁塗装そのものに固有の法定耐用年数は存在せず、建物本体の耐用年数と同じ扱いとなります。
以下にまとめましたので、参考にしてください。
建物構造 | 用途 | 法定耐用年数 |
木造・合成樹脂造 | 住宅用 | 22年 |
木造・合成樹脂造 | 事務所用 | 24年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 住宅用 | 47年 |
鉄筋コンクリート造 | 事務所用 | 50年 |
金属造(骨格材4mm超) | 店舗・住宅用 | 34年 |
このように、建物の構造によって法定耐用年数は大きく異なります。
税務上の耐用年数を考える際は、この建物全体の年数を正しく参照することが肝心です。
外壁のメンテナンスにおいて、どの塗料を選ぶかは耐用年数を決める要素です。
ここでは、現在主流となっている6つの塗料について特徴を紹介します。
詳しく見ていきましょう。
外壁用塗料の中でもっとも価格が安い塗料です。
しかし、耐用年数は5~8年と短く、紫外線など外部環境の影響を受けやすいため、劣化の進行が早いという特徴があります。
頻繁な塗り替えが必要になるため、長期的な視点で見るとコストパフォーマンスはあまり高くありません。
そのため、現在の戸建て住宅の塗り替えで主役になることは少なくなりました。
低コストでDIYに使用されることが多く、短期間での外壁塗り替えに適しています。
とにかく初期費用を抑えたい場合に検討される選択肢ですが、長期的な建物の保護には不向きであると理解しておきましょう。
価格と耐久性のバランスを重視する場合の選択肢となる塗料です。
耐用年数は8~10年ほどで、塗膜は伸縮性に優れ、ひび割れや変形に強く、光沢がある塗膜を形成し剥がれにくいという特徴があります。
かつては外壁塗装の主流でしたが、より高性能なシリコン塗料が登場したことで、現在はその座を譲っています。
しかし、シリコン塗料よりは安価であるため、予算を抑えたい場合には有効です。
外壁全体だけでなく、雨樋や破風板といった木部・鉄部の塗装にもよく使われます。
コストを抑えつつ、アクリル塗料よりは長持ちさせたい場合に適した塗料です。
現在の外壁塗装でもっとも人気があり、広く採用されている塗料です。
耐用年数は7~15年と比較的長く、価格と耐久性、機能性の総合的なバランスに優れています。汚れが付着しにくい耐汚染性があることが大きな魅力です。
多くの塗料メーカーが主力製品として扱っているため、カラーバリエーションや機能の選択肢が豊富な点もメリットといえるでしょう。
日本の気候にも適しており、ほとんどの建物で安定した性能を発揮します。
どの塗料を選べばよいか迷った際に、まず基準として考えるべきスタンダードな塗料であり、高いコストパフォーマンスが期待できます。
塗膜の劣化を抑制する、特別な機能を備えた比較的新しい塗料です。
塗料の色を構成する顔料は、紫外線を浴びると「ラジカル」という劣化因子を発生させます。
このラジカルが塗膜を破壊し、色褪せやチョーキング現象を引き起こします。
ラジカル制御型塗料は、このラジカルの発生を抑える技術を用いており、従来の塗料よりも長期間にわたって建物を保護することが可能です。
耐用年数は12~16年とシリコン塗料を上回ります。
価格帯はシリコン塗料と同等か少し高いくらいであるため、費用対効果を重視する方から近年高い支持を得ています。
優れた耐久性を誇る高性能な塗料です。
耐用年数は15~20年と長く、紫外線に強く、長期間にわたって光沢や色彩が劣化しにくい耐候性を持ちます。
長期間にわたって光沢や色彩が劣化しにくいため、塗り替え後の美しい状態を長く維持することが可能です。
表面は汚れが付着しにくい親水性があり、雨で汚れを洗い流せます。
価格は高価ですが、塗り替えの回数を大幅に減らせるため、長期的なメンテナンスコストを抑えられます。
頻繁な塗り替えが難しい建物や、美観をとくに重視する場合に最適な選択肢です。
現在の外壁用塗料の中で、最高級グレードに位置づけられる塗料です。
ガラスや石といった無機物を主成分とすることで、20~25年という圧倒的な耐用年数を実現します。
紫外線で劣化することがほとんどなく、硬い塗膜で外壁を長期間保護します。
カビや苔の発生を抑え、雨水で汚れが流れ落ちる「セルフクリーニング機能」を持つ製品が多いのも大きな特徴です。
価格はもっとも高価ですが、塗り替えサイクルが長いため、30年以上の長期で見ればもっとも経済的になる可能性があります。
最高の耐久性と美観を求め、建物の資産価値を最大限に維持したい場合に選ばれる塗料です。
優れた塗料を選ぶことはもちろん大切ですが、それだけで外壁の耐用年数が決まるわけではありません。
ここでは、外壁の寿命を延ばすために実践すべき4つのポイントを解説します。
これらの視点を持つことが、結果的に将来のコスト削減にもつながります。
外壁メンテナンスを考える際は、目先の工事費用だけでなく、将来の塗り替えまで含めた総コストで判断することが大切です。
初期費用が安いアクリル塗料などは、耐用年数が短いために塗り替えの回数が増えてしまいます。
塗装工事では、塗料代のほかに足場の設置費用も発生し、高額になる場合も。
たとえば30年間で考えると、耐用年数10年のシリコン塗料なら2回の塗り替えが必要ですが、15年のフッ素塗料なら1回で済みます。
結果として、足場代を1回分まるごと節約できる計算です。
今後その家に何年住むのかを考え、長期的な視点を持つことが賢い選択につながります。
外壁塗装を行う際は、屋根や雨樋などのメンテナンスも同時に検討することをおすすめします。
なぜなら、これらの工事にも足場の設置が必要になるからです。
外壁と屋根の工事を別々のタイミングで行うと、その都度高額な足場代が発生してしまいます。
外壁と屋根は同じように雨風や紫外線に晒されているため、劣化の進行度合いも近い場合がほとんどです。
足場を一度で済ませられる同時工事は、費用を大幅に節約できるだけでなく、メンテナンスの効率もよくなります。
足場を有効活用し、まとめてメンテナンスすることがトータルコストを抑えるもっとも賢い方法の1つです。
外壁の美観と耐久性を長持ちさせるためには、日ごろの簡単な手入れも肝心です。
外壁に付着したホコリや排気ガス、カビ・苔といった汚れは、放置すると塗膜の劣化を早める原因となります。
とくに日当たりが悪く、湿気がこもりやすい北側の壁などは注意が必要です。
年に1~2回程度、ホースの水を優しくかけて洗い流すだけでも、劣化の進行を遅らせる効果が期待できます。
ただし、固いブラシなどを使用すると塗膜を傷つける可能性があります。
専門知識がない場合は使用を避け、あくまで優しく洗浄することを心がけましょう。
どれだけ高価で高性能な塗料を選んでも、施工する業者の品質が低ければ意味がありません。
塗料の性能は、メーカーが定めた正しい手順と基準(適切な希釈率や乾燥時間、塗り重ね回数など)を守ってこそ最大限に発揮されます。
知識不足や手抜き工事を行う業者に依頼してしまうと、数年で塗膜が剥がれたり、色褪せたりといった不具合が発生する可能性があります。
業者を選ぶ際は、複数の会社から相見積もりを取って内容を比較し、施工実績や担当者の専門知識を確認することが不可欠です。
業者選びこそが、外壁の耐用年数を決める要素といっても過言ではありません。
外壁の耐用年数を考え、塗装リフォームを検討し始める前に、一度現在の汚れの原因を確認してみませんか?もしその汚れがカビや雨だれであれば、専門的なクリーニングで解決できるかもしれません。
ビカンテックの「ビカン工法」は、特殊な洗剤を用いて汚れを根元から分解・除去します。
高圧洗浄機のように外壁素材を傷つける心配もなく、防カビ・防菌処理によって長期間にわたり美しい外観を維持できるのが特徴です。
塗装に比べて費用や時間を抑えられる場合も多いため、まずは外壁の状態をご相談ください。
汚れの状況や範囲をお伝えいただくことで、概算のお見積もりも可能です。
この記事の監修者
平田愼二Hirata Shinji
株式会社ビカンテック
営業部
プロフィール
2010年よりビカンテック加盟店募集営業・加盟店の開業支援、数多くの加盟店との連携を取りながら営業・施工応援に従事。
日々加盟店の売上実績に貢献できるよう活動している。
洗浄施工実績多数。
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