コラム
独立開業を目指すうえで「一体いくら資金が必要なのか」「どうやって集めればよいのか」は、誰もが直面する大きな課題です。
資金計画が具体的でないと、不安で次の一歩が踏み出せないこともあるでしょう。
本記事では、公的な調査データをもとに、独立開業にかかる資金の相場や内訳、具体的な資金調達方法を解説します。
ぜひ本記事を参考に、万全な資金計画で夢への一歩を踏み出してください。
独立開業を成功させるためには、まず現在の開業者の実態を把握することが肝心です。
日本政策金融公庫が実施した2024年度新規開業実態調査では、開業者の属性や傾向が明らかになりました。
ここでは、とくに注目すべき3つのポイントを解説します。
これらのデータから、経験を積んだミドル世代が中心となって開業していることが分かります。
参考資料:日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」~アンケート結果の概要~
2024年度の調査によると、開業時の平均年齢は43.6歳で、年齢層別では40代が37.4%ともっとも多くなっています。
次いで30代が28.6%、50代が17.9%という構成です。
この結果から、一定の社会経験とスキルを身につけた年代が独立開業に踏み切る傾向が見えてきます。
40代での開業が多い理由として、業界知識や人脈が充実していることがあげられるでしょう。
子育てが一段落し、新たなチャレンジに時間を割けるようになるタイミングでもあります。
一方で、20代(29歳以下)は6.9%、60歳以上は6.3%と少数派です。
しかし、若手の斬新なアイデアやシニアの豊富な経験を生かした開業も、成功事例として報告されています。
前年度(2023年度)の女性開業者の割合は24.8%であり、2024年度の25.5%は1991年の調査開始以来もっとも高い数値となりました。
女性が開業を選ぶ理由には、ワークライフバランスの実現や、自分のペースで働きたいという願望があるようです。
女性起業家向けの支援制度も充実してきました。
日本政策金融公庫の「女性起業家支援資金」では、優遇金利での融資が受けられます。
今後も女性開業者の増加が予想され、多様な視点からのビジネス展開が期待されています。
調査結果では、開業者の97.9%が何らかの勤務経験を持っており、その平均年数は20.8年にも及びます。
さらに、現在の事業に関連する仕事の経験(斯業経験)がある人は83.1%、管理職経験がある人は66.7%という高い数値です。
これらのデータは、独立開業が「思いつき」ではなく、長年の経験に基づいた計画的な決断であることを物語っています。
開業直前の職業を見ると、正社員・正職員(管理職)が41.1%、正社員・正職員(管理職以外)が31.7%となっており、会社員からの独立が主流です。
豊富な実務経験は、事業計画の策定や顧客開拓、資金調達の場面で大きな強みとなるでしょう。
独立開業を検討する際、もっとも気になるのが必要な資金額です。
ここでは、2024年度の調査データをもとに、開業資金の実態を以下4つの観点から分析します。
これらのデータから、開業資金は業種や規模により大きく異なることが分かります。
2024年度調査における開業費用の平均値は985万円、中央値は580万円という結果が出ています。
平均値と中央値に約400万円の差があることから、一部の高額開業者が平均値を引き上げていることが分かります。
実際には、半数以上の開業者が580万円以下で事業をスタートさせているのが現状です。
業種別では、製造業や飲食店が1,000万円を超える傾向にある一方、コンサルティング業やIT系ビジネスは比較的少額で開業できます。
店舗の有無も大きく影響し、無店舗型ビジネスなら初期投資を大幅に抑えることが可能です。
大切なのは、自分の事業モデルに適した資金計画を立てることです。
さらに少額での開業実態を見ていきましょう。
調査結果によると、開業費用が「250万円未満」だった人の割合は20.1%でした 。
これは、開業した人のうち5人に1人が、比較的少額の資金で事業をスタートさせていることを意味します。
少額開業が可能な理由として、在宅での開業や、既存の設備を活用したビジネスモデルがあげられるでしょう。
具体的には、フリーランスのデザイナーやライター、オンラインコンサルタントなどが該当します。
ネット販売やドロップシッピングといった、在庫を持たないビジネスも少額開業の代表例です。
ただし、少額開業の場合は運転資金の確保が課題となりやすいため、売上が安定するまでの生活費を別途用意しておく必要があります。
▼代理店のビジネスモデルについて詳しく知りたい方はこちら
代理店のビジネスモデル11種類と商材を選ぶ際のポイントを解説
開業費用500万円未満の割合を見ると、全体の41.1%にのぼります。
つまり、約4割の開業者が500万円以内で事業をスタートさせているわけです。
この金額帯では、小規模な店舗型ビジネスや、設備投資を抑えたサービス業での開業が可能です。
500万円あれば、中古の厨房機器を活用した小さな飲食店や、必要最小限の機材で始める美容サービスなども視野に入ってきます。
フランチャイズの中にも、この価格帯で加盟できるものが存在します。
肝心なのは、限られた資金を効率的に配分し、段階的に事業を拡大していく戦略を持つことです。
初期投資を抑えることで、リスクを最小限にしながら事業の可能性を探れるでしょう。
1991年の調査開始以来、開業費用は長期的に減少傾向にあります。
1991年の平均値は1,440万円でしたが、2024年には985万円まで低下しました。
この約30年間で、開業のハードルが大幅に下がったことが分かります。
少額化の背景には、インターネットの普及やシェアリングエコノミーの発展があります。
オンラインツールの活用により、事務所を持たずに事業運営が可能になりました。
コワーキングスペースやレンタルオフィスの普及も、初期投資の削減に貢献しています。
さらに、中古品市場の充実により、設備投資を抑えることも容易になりました。
この傾向は今後も続くと予想され、より多くの人に開業のチャンスが広がっていくでしょう。
開業資金と一言でいっても、その使い道はさまざまです。
資金計画を立てるためには、どのような費用が必要になるのかを具体的に把握することが不可欠です。
ここでは、開業資金を大きく4つのカテゴリーに分けて説明します。
それぞれ見ていきましょう。
設備資金とは、事業を始めるために必要な初期投資のことです。
具体的には、事務所や店舗を借りる際の保証金や内装工事費などです。
事業で使うデスクやパソコン、業務用の機材や車両の購入費用も含まれます。
たとえば工務店を開業する場合、作業用のトラックや工具一式などがこれにあたります。
設備資金は開業時に一度に大きな金額が必要になることが多いです。
全体の予算の中でもとくに大きな割合を占めるため、入念な見積もりが欠かせません。
運転資金は、事業を開始してから軌道に乗るまでの間、経営を維持していくために必要なお金です。
具体的には、商品の仕入れ代金や材料費、事務所の家賃、水道光熱費などが該当します。
従業員を雇用する場合は人件費も発生します。
売上があっても、入金されるまでに時間がかかることは珍しくありません。
その間の支払いが滞らないよう、最低でも3ヶ月分、できれば6ヶ月分の運転資金を用意しておくと安心です。
運転資金の確保は、黒字倒産を防ぐうえで肝要です。
事業用の資金とは別に、経営者自身の生活費も忘れてはいけません。
開業直後は、事業からの収入が不安定になりがちです。
すぐに十分な役員報酬や給与を得られるとは限りません。
そのため、事業が軌道に乗るまでの間の生活費を、予備資金として確保しておくことが賢明です。
事業用の運転資金と個人の生活費は、明確に分けて管理しましょう。
生活の不安は、経営の判断を鈍らせる原因にもなります。
安心して事業に集中するためにも、最低半年分の生活費を目安に準備しておくとよいでしょう。
設備資金や運転資金以外にも、開業に際して発生する諸経費があります。
たとえば、株式会社などの法人を設立する場合には、定款認証代や登録免許税といった法定費用が必要です。
個人事業主として開業する場合でも、許認可が必要な業種では申請手数料がかかることがあります。
建設業や飲食業などがその代表例です。
これらの費用は、事業内容によって大きく異なります。
ご自身の事業に必要な手続きを事前に調べ、漏れなく予算に計上しておくことが大切です。
開業に必要な資金額が分かったら、次はそれをどうやって集めるかを考えます。
日本政策金融公庫の調査によると、開業時の資金調達額は平均で1,197万円でした。
ここでは、おもな資金の調達先について5つの方法を紹介します。
詳しく見ていきましょう。
自己資金は、これまで貯めてきた自分自身のお金です。
開業時の資金調達のうち、自己資金が占める割合は平均で24.5%となっています。
金額にすると、平均293万円です。
自己資金は返済の必要がないため、もっとも安全な資金といえます。
融資を受ける際には、この自己資金の額が事業への本気度を示す指標と見なされることも少なくありません。
コツコツと準備してきた自己資金があることは、金融機関からの信頼を得るうえでも重要な要素です。
金融機関からの融資は、開業資金の65.2%を占める調達方法です。2024年度調査では、平均780万円を借り入れているという結果が出ました。
代表的な融資制度として、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」があり、最大7,200万円まで融資を受けられます。
民間金融機関では、信用保証協会の保証付き融資や、自治体の制度融資を活用する方法があります。
これらは金利が低く、返済期間も長めに設定されているのが特徴です。
融資を受ける際は、詳細な事業計画書の作成が必須です。
売上予測や資金繰り計画、返済計画を明確に示すことで、審査通過の可能性が高まるでしょう。
創業前の相談から親身に対応してくれる金融機関を選ぶこともポイントです。
親や兄弟、親しい友人などから資金を借りる方法も選択肢の1つです。
普段からの信頼関係があるため、金融機関よりも柔軟な条件で支援してもらえる可能性があります。
ただし、お金の問題は人間関係に影響を及ぼすリスクも伴います。
口約束で済ませるのではなく、必ず「金銭消費貸借契約書」を作成しましょう。
返済期間や利率などを書面で明確に残すことが、後のトラブルを防ぎ、良好な関係を維持するために不可欠です。
親しい間柄であっても、礼儀を尽くした対応を心がけてください。
国や地方自治体が提供する補助金や助成金は、原則として返済が不要な貴重な資金です。
創業期に利用できる制度も数多く用意されています。
たとえば、新たな事業を支援する「創業促進補助金」などが有名です。
ただし、これらの制度はいつでも募集しているわけではなく、公募期間が限られています。
また、申請には事業計画書などの書類提出が必要で、審査もあります。
常に最新の情報をチェックし、自社の事業内容に合う制度があれば積極的に活用を検討する価値は高いです。
クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人から少額ずつ資金を集める方法です。
事業内容や想いに共感してくれた人から支援を募ります。
資金調達だけでなく、開業前からファンを獲得できる点や、商品・サービスのテストマーケティングになる点が大きなメリットです。
ただし、プロジェクトを成功させるためには、魅力的なリターン(返礼品)の設計や、SNSなどを活用した広報活動が欠かせません。
目標金額に達成しないと資金を受け取れない形式もあるため、事前の戦略が大切です。
独立開業の資金計画は、事業成功の土台となる要素です。
必要資金を正確に把握し、自分に合った調達方法を選択することで、リスクを最小限に抑えながら事業をスタートできます。
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